概要

マンション・ビルの総合管理事業を中心に、リニューアル工事事業など高層住宅・商業用建築物のライフサイクル全般に関わる事業を展開する三菱地所コミュニティ株式会社。2014年7月には三菱地所丸紅住宅サービス株式会社(旧 丸紅コミュニティ株式会社)とマンション管理事業の経営統合を行い(2016年に合併)、相互のシステム・ノウハウを有効活用して管理サービス品質の向上を実現しています。三菱地所コミュニティ株式会社 情報システム部 システムサポートグループ チーフの木村 温氏は、全国に20以上の支店・営業所を構える同社のITインフラすべての運用・管理に携わっており、ルーブリックによるバックアップシステムの構築においても中心的な役割を担っています。

課題

  1. ストレージの容量不足でスナップショットを使ったバックアップに限界

  2. 国内に複数存在するデータセンターのバックアップ

結果

  1. 柔軟なバックアップ/リストア

  2. バックアップの高速化

  3. 直感的な操作による運用負荷の軽減

ITトランスフォーメーションの成果

  1. 運用管理負荷の軽減

  2. 柔軟なバックアップ・リストアが実施できる環境の構築

課題

仮想化基盤へのサーバー集約を進めるなか、バックアップの課題が顕在化

木村氏は、三菱地所コミュニティがバックアップシステムの刷新に踏み切った経緯をこう語ります。「もともとのきっかけは、2014年から丸紅コミュニティ側で進めていた業務システムを仮想化基盤に集約するプロジェクトにまで遡ります。当時はサーバーごとに個別のバックアップシステムを組んでいたのですが、仮想化基盤の構築にあたって、かなり余裕のあるディスク容量を確保したこともあって、仮想化基盤用ストレージのスナップショット機能で対応し、当時のバックアップシステムは不要と判断しました。ところが、合併により両社のシステム・データの合理化を進めるなかで仮想化基盤の有用性が認知されたことで、仮想化基盤上のサーバーが増加し、共有ストレージの容量が圧迫されてスナップショットが取れなくなるという問題が生じてしまいました」共有ストレージの容量不足により、スナップショットに変わるバックアップシステムが必要になると考えた木村氏は、2016年からバックアップソリューションの選定に着手。さまざまなソリューションを検討し、最終的に選択したのは、木村氏自らが情報収集して候補に加えたルーブリックのアプライアンス製品「Rubrikr6404s」でした。「ハンズオンで実際に触れてみて、“なぜ、これほどのソリューションが日本で知られていないのか”と不思議に思うほどの好感触を得ました。採用の決め手となったのは扱いやすさ。GUIがシンプルで、1つの項目をクリックすると関連する項目がすべて見られるなど、とにかくわかりやすかったです。必要な情報にすばやくアクセスできるので、運用・管理面での負荷も軽減できると感じました」と木村氏は振り返ります。オールインワンで提供されるアプライアンス製品で、ほかの候補と比べて費用対効果に優れていたのも選定のポイントになったといいます。

「合併により両社のシステム・データの合理化を進めるなかで仮想化基盤の有用性が認知されたことで、仮想化基盤上のサーバーが増加し、共有ストレージの容量が圧迫されてスナップショットが取れなくなるという問題が生じてしまいました」

木村 温
情報システム部システムサポートグループ チーフ, 三菱地所コミュニティ株式会社


 


導入ソリューション

ルーブリックの採用でバックアップ・リストアの柔軟性が大幅に向上

導入を決定したのは2019年の初頭。仮想化基盤のストレージ使用量が85~90%に達し、スナップショットを削除しないと必要な容量が確保できないほど状況がひっ迫していたため、決定から発注まで1カ月程度と、導入はスピーディに進められました。ネットワークまわりの環境整備が必要だったこともあり、2020年7月から本格的な運用を開始。2020年10月時点では大がかりなリストアが必要となる障害は起きていませんが、すでに運用面でさまざまなメリットを体感できていると木村氏は語ります。「最初の設定を自分で行ったために少々手間取りましたが、運用を開始してから問題はまったく発生していません。取ったバックアップが視覚的にわかりやすく、そこからどういった処理を行うのかも簡単に設定できるので、運用面での柔軟性は大幅に向上しています。vSphere上で見えているディスク容量と、実際に取れているバックアップデータの差分など、スナップショットを使ったバックアップではわからなかった要素も確認できるようになりました」Rubrik r6404sの高度な処理性能と10Gの回線により、バックアップのスピードは「驚くほど速くなった」と木村氏は喜びます。共有ストレージのスナップショットを使った従来のバックアップ手法では、容量不足の問題だけでなく、ファイル単位の細かなリストアができないなど、柔軟性に欠けるという課題も抱えていました。ファイルごと、ドライブごとのリストアが容易に行えるルーブリックのバックアップソリューションならば、こうした柔軟性における課題解決にも大きな効果が期待できると木村氏。「近いうちに基幹系サーバーの運用チームメンバーと、DBサーバーをファイル単位でリストアするテストを行う予定です。また、vSphereのタグを使ってバックアップのポリシーを設定する機能も活用したいと考えています」と、ルーブリックの効果的な活用を模索し続けています。


 

「最初の設定を自分で行ったために少々手間取りましたが、運用を開始してから問題はまったく発生していません。取ったバックアップが視覚的にわかりやすく、そこからどういった処理を行うのかも簡単に設定できるので、運用面での柔軟性は大幅に向上しています。vSphere上で見えているディスク容量と、実際に取れているバックアップデータの差分など、スナップショットを使ったバックアップではわからなかった要素も確認できるようになりました」

木村 温
情報システム部システムサポートグループ チーフ, 三菱地所コミュニティ株式会社

クラウドサービスとの連携や、DRサイトの運用にもルーブリックを活用

現状で、仮想化基盤とルーブリックのシステムにフルアクセスできるのは木村氏のみですが、今後はDB管理者がRubrik r6404sにアクセスしてデータをリストアできる権限を与える予定だといいます。「今は権限の設定方法などをチェックする段階ですが、ルーブリックのGUIならばマニュアルを作成しなくても問題なく使ってもらえるのではないかと期待しています」と木村氏は語ります。さらに今後の展開としては、導入を開始した O f f i c e365(Microsoft 365)のバックアップにルーブリックのクラウド向けソリューションを導入することを検討しているほか、長年の課題となっていたオラクルDBのバックアップ手法(Oracle RMAN)の変更にも、ルーブリックのバックアップソリューションを活用していきたいと木村氏。ルーブリックのさらなるサポートを期待しています。

「今は権限の設定方法などをチェックする段階ですが、ルーブリックのGUIならばマニュアルを作成しなくても問題なく使ってもらえるのではないかと期待しています」

木村 温
情報システム部システムサポートグループ チーフ, 三菱地所コミュニティ株式会社