非構造化データはかつてないほど急増しています。Forbesによると、非構造化データの量は年間55〜65%という驚異的な速度で増加しています。これは、企業に巨大な機会と重大な課題の両方をもたらしています。またIDCの報告では、2025年までに世界のデータ量は175ゼタバイト(175の後にゼロが21個続く量)に達し、そのうち80%が非構造化データだろうと推測されています。
このデータの洪水の中に埋もれている潜在的な価値(およびそれを管理せず放置した場合に生じるリスク)について、企業の間で認識が高まりつつあります。データ主導型のビジネス環境において、競争力、コンプライアンス、コスト効率を維持するためには、効果的に非構造化データを管理することが極めて重要になりつつあります。
非構造化データとは、あらかじめ定義されたデータモデルや整理された構造には基づかない情報のことです。固定されたスキーマを持つデータベース内に整然と整理されているのが構造化データですが、非構造化データはそれと異なり、さまざまな形式で存在し、解釈には追加のコンテキストが必要になります。非構造化データに含まれる幅広いファイルタイプの一例:
テキスト:電子メール、ソーシャルメディアの投稿、チャットメッセージ、自由記述式アンケートの回答
マルチメディア:画像、動画、写真、YouTube動画、ポッドキャスト
ドキュメント:PDF、Word文書、スキャンした手書きのメモ
ウェブコンテンツ:ウェブページ、HTMLファイル、ユーザー生成コンテンツ(レビューやコメントなど)
センサーデータ:IoTデバイスのログ、生のテレメトリーデータ、GPSストリーム
電子メールと添付ファイル:メール本文、標準化された形式を必要としない添付ファイル(プレゼンテーションやスプレッドシートなど)
企業にとって非構造化データがどれほど重要かは、いくら強調してもしきれません。マーケティング資料や顧客フィードバックから、調査レポート、IoTセンサーのログに至るまで、非構造化データはほぼすべての部門で生成されます。そして、 企業データの80%が非構造化データであることを踏まえると、そのデータを管理するための堅牢なソリューションが必要なことは明らかです。
非構造化データの量が増加し続けている現在、包括的な管理戦略の導入の妥当性を示す理由がいくつか存在します。効果的な非構造化データ管理を実施することで、テキスト、画像、動画など多様な情報源から貴重な知見を引き出し、より良い意思決定を下せるようになります。適切な戦略がなければ、データ過多、セキュリティの脆弱性、イノベーション機会の逸失のリスクが生じます。管理戦略を導入するべき理由を具体的にみていきましょう。
ビジネス価値:顧客からのフィードバック、ソーシャルメディアでのやり取り、マルチメディアコンテンツといった非構造化データは、市場の動向や消費者の好みを明らかにすることができます。このデータを効果的に管理・分析することで、製品のイノベーションの機会やターゲットを絞ったマーケティングソリューションの機会を発見することが可能になります。こうした知見を活用することで戦略的意思決定が強化され、変化の激しい市場で競争優位性が得られます。
メタデータ管理:堅牢なメタデータ管理システムを導入することは、非構造化データの整理・分類に不可欠です。ファイル形式、作成日、作成者、コンテンツタグなどの主要な属性を把握することで、検索性が向上し、より効率的なデータガバナンスの実践が可能になります。また、メタデータの活用によってデータライフサイクル管理を自動化することで、企業のポリシーや規制要件に従ったファイルの適切な保管と廃棄が確実に実践されます。
データの発見・分類のためのツール:データの発見・分類ソリューションの自動化は、非構造化データリポジトリ内の機密情報を特定するプロセスを大幅に効率化します。これらのツールは、高度なアルゴリズムと機械学習技術によってファイルの内容を把握し、パターンを検出、あらかじめ定義されたルールに基づいて適切に分類を行います。データを正確に分類することで、保護対策の優先順位を決定し、アクセス制御を適用し、GDPRやHIPAAといったデータプライバシー規則への順守を確保することができます。
クラウドベースのストレージとアーカイブ:非構造化データを拡張性のあるクラウドストレージプラットフォームへ移行することで、オンプレミスのインフラへの負荷を軽減し、長期的なデータ保持に適したコスト効率の高い選択肢が得られます。クラウドプロバイダーは柔軟な階層型ストレージを提供しており、アクセス頻度が高いデータには高性能ストレージを利用し、アクセス頻度が低いファイルは低コストのアーカイブストレージに移動させることが可能です。さらに、クラウドベースのソリューションには、バージョン管理や地理的冗長型レプリケーションなどのデータ保護機能が組み込まれていることが多く、これによってデータのレジリエンスが高まります。
データガバナンスのフレームワーク:包括的なデータガバナンスのフレームワークを確立することは、非構造化データを効果的に管理するうえで極めて重要です。これには、データの所有権、アクセス制御、データ品質管理、データ保持スケジュールに関する明確なポリシーと手順を定義することが含まれます。さまざまな部門(IT、法務、事業部門など)のステークホルダーを関与させることで、データガバナンスの慣行を組織の全体的な目標や規制要件と整合させることができます。ガバナンスフレームワークの有効性を長期的に維持するためには、定期的な監査と見直しを実施する必要があります。
非構造化データの管理には、組織が潜在能力を最大限に活用するために乗り越えなければならない重要な課題が存在します。
最も手強い課題の一つは、定義されたスキーマが存在しないことです。構造化データがデータベース内の固定フィールドに存在するのとは異なり、非構造化データは特定の形式や構造に従っていません。このため、非構造化データの検索やインデックス作成は困難です。この本質的な特性のため、データの取得、分析、処理は複雑になり、効果的な管理には高度なツールやアルゴリズムが必要となります。
データのスプロール(拡散)は管理を一層困難にします。なぜなら非構造化データは、しばしばオンプレミスのサーバー、クラウドストレージサービス、個人のデバイスなど、さまざまな保存場所に分散しているからです。このような分散は、アクセスやガバナンスを複雑にするだけではありません。特に機密情報や規制対象データが関わる場合には、データセキュリティやコンプライアンスに重大なリスクをもたらします。
拡張性の問題も、大きな障害となります。非構造化データの爆発的な増加は、従来のストレージやバックアップシステムをあっという間に圧迫し、データ管理インフラのコスト増大と複雑化を招きかねません。このデータ増加に対応するには、クラウドストレージや高度なデータレイクといった拡張性のあるソリューションを導入する必要があります。
さらに、データの発見と分類の困難さは、いくら強調してもしすぎることはありません。膨大なデータセットの中から機密性の高いファイルや重要なファイルを特定・分類するというプロセスは、時間を要する作業であるだけでなく、高度なツールを必要とします。ツールを使用することで、こうしたプロセスを自動化し、コンプライアンスの確保、データの保護、重要情報への迅速なアクセスが可能になります。上記の課題は、非構造化データを効率的に管理するための、堅牢で革新的なソリューションや戦略の必要性を浮き彫りにしています。
データは従来型のデータベースで処理可能な範囲をはるかに超えて増加していますが、非構造化データの管理ソリューションなら、その膨大なデータを活用できます。非構造化データを管理する際にベストプラクティスを実践することは、運用効率を向上させ、コンプライアンスを確保し、データの中に隠れた貴重な知見を発見するために、不可欠です。
エンタープライズ向けネットワーク接続型ストレージ(NAS)システムは、組織全体に散在しているファイルの共有を統合するための堅牢な基盤として機能します。スナップショットとレプリケーションの自動化によって災害からデータを保護することが可能になり、これは復旧プロセスのスピードと信頼性の向上を通じて事業継続性の確保につながります。
NASからリモートクラウドストレージへのバックアップの移行もまた、非構造化データを管理するための戦略的なアプローチです。このアプローチでは、クラウドの拡張性とコスト効率性をオフサイトでのデータ保持に活かすことができます。オンプレミスインフラへの負荷が軽減されるだけでなく、データの耐久性とアクセス性が向上し、地域的な災害に対し有効な措置になります。
非構造化データという果てしない海を航海するには、データの発見と分類のツールが不可欠になります。これらのツールは、機密情報を自動的に特定し、関連性に基づいてデータを分類することで、コンプライアンス対策を強化し、データガバナンスの枠組みを効率化します。
メタデータのタグ付けやデータモデリングの手法を導入することで、重要なメタデータ(作成日、作成者、ファイル形式など)を体系的に記録できるようになります。こうした手法は、インデックス化を改善して分析や検索機能を向上させるだけでなく、データをより解析しやすい形に構造化することで機械学習の活用も促進します。
機械学習や自然言語処理(NLP)技術を活用することで、非構造化データの管理を大幅に強化できます。これらの技術により、テキスト量の多い文書の仕分け・分類・分析の自動化が可能になり、重要な知見を引き出すとともに、増え続けるデータ量をより効率的に取り扱えるようになります。こうしたソリューションやベストプラクティスを活用することで、非構造化データを混沌から戦略的資産へと転換し、イノベーションと競争優位性を推進できます。
効果的な非構造化データ管理は、従来型のデータベースでは容易に取得できない情報を活用することで、さまざまな分野で極めて重要な役割を果たしています。非構造化データ管理を活用したユースケースをいくつか見ていきます。
カスタマーサポート:カスタマーサポートでは、コールセンターの通話内容やコミュニケーションを分析することで、サービス改善に役立つ貴重なフィードバックや新たな傾向を発見できます。高度なテキスト分析や自然言語処理は、顧客の感情や繰り返し発生する課題を特定するのに役立ち、これにより顧客のニーズに先回りした対応が可能になります。これらの非構造化データから実用的な知見を抽出することで、顧客満足度とロイヤルティを高められます。こうしたプロアクティブなアプローチにより、市場の変化を予測し、競合他社に先行することが可能になります。
法律:法的開示手続きもまた、非構造化データの管理が極めて重要な分野です。訴訟プロセスでは、原告または被告としての弁論のため、法務チームは膨大な量の電子メール、文書、通信記録を精査する必要があります。効率的な非構造化データ管理ツールがあれば、関連情報を迅速に特定し、手作業を削減し、重要証拠の見落としによるリスクを低減することで、訴訟プロセスが効率化されます。さらに、高度な分析を実行することで、これらの文書の中からパターンや関連性を特定して、法的主張を強化することが可能です。こうした機能は、時間を節約するだけでなく、法的戦略の正確性と有効性を高めます。
医療分野:医療分野では、重要な意思決定を下す際に、非構造化データのシームレスな管理が不可欠です。医療データの大部分を占める医療画像、患者記録、検査結果などは、安全に保管するとともに、分析のために容易にアクセスできるようにする必要があります。そうすることで、より正確な診断とより個別化された治療計画が可能となり、患者の転帰を改善できます。AIを活用した画像認識やテキスト分析といった高度なツールを活用することで、そうした多様なデータソースから知見を抽出できるようになり、より迅速かつ正確な臨床判断が可能になります。さらに、効果的なデータ管理により、厳格な規制基準を確実に順守することができるようになり、患者のプライバシー保護と最適な医療提供が可能になります。
そのほか、産業分野だけでなく特定の技術に適用できるユースケースも存在します。たとえば、 モノのインターネット(IoT)に接続されたデバイスからは、センサーや装置を通じて膨大な量の非構造化データが生成されます。このデータを効果的に管理すれば、リアルタイム監視、予知保全、知見豊富な分析が可能になります。その結果、センサーログの継続的な解析を通じて環境の調整を監視することで、効率性が向上し、危機的な状況が発生した場合には即時対応を求める警告を発することができます。
データレイクとは、規模にかかわらず、構造化データと非構造化データの両方を大量に保存できるよう設計された一元管理が可能なリポジトリです。すべてのデータをアクセスが容易な一か所に集約できるようになり、データの出所や性質にかかわらず分析して知見を得ることが可能になります。この統合的なアプローチにより、複雑なデータ分析、機械学習モデル、統計解析を、同一の環境内に保存されたさまざまなデータタイプに対して効率的に実行することができます。こうした汎用性の高さは、十分な情報に基づいた意思決定ができるようビッグデータを活用する際に大きな利点となります。
クラウドストレージは、拡張性があり、安全で、かつコスト効率の高いプラットフォームを提供することで、データレイクの可能性を増強します。従量課金制の料金モデルがもたらす柔軟性のおかげで、クラウドサービスでは大きな初期投資を必要とせずにデータストレージのリソースを管理できます。この機能は、データ生成量の爆発的な増加と、それに伴うストレージ容量の拡大のニーズを踏まえると、特に重要です。
さらに、より広範なデータ管理ソリューションにデータレイクを統合することは、効果的なデータガバナンスを維持するうえで不可欠です。統一されたアプローチを実践することで、企業全体のデータを、一貫性があり、アクセスが容易で、安全な状態に保つことができます。また、この統合は規制順守の徹底や、品質管理や監査に不可欠なデータリネージの実行にも役立ちます。したがって、データレイクは、高度なクラウドストレージソリューションと組み合わせた場合には特に、デジタルトランスフォーメーションと競争優位性の実現を目指すデータ管理ソリューションにおいて、強力なツールとなります。
非構造化データが量と複雑さを増す中で、この価値ある情報資産を管理・保護するためにプロアクティブな戦略を採用しなければいけません。堅牢なバックアップソリューション、メタデータ管理システム、データの発見・分類ツール、クラウドストレージ、そして包括的なデータガバナンスの枠組みを導入することで、非構造化データの可能性を最大限に引き出しつつ、データ損失、コンプライアンス違反、非効率性に伴うリスクを軽減することができます。効果的な非構造化データ管理は、重要な情報を保護するだけでなく、今日のデータ主導型のビジネス環境でイノベーションや競争優位性を推進する有益な知見を引き出すこともできるようになります。
電子メールからマルチメディアファイルまで、非構造化データの爆発的な増加への対応を進めようとする際に、堅牢な管理ソリューションを実施することは、知見を引き出し、コンプライアンスを確保するうえで不可欠です。ストレージの非効率性に対処し、高度なツールを活用することで、非構造化データを戦略的な資産へと転換できます。非構造化データ管理に着手するために考慮するべきステップ:
1. 包括的なデータ監査を実施し、ストレージの非効率性と潜在的なコンプライアンスリスクを特定します。この重要な最初のステップは、隠れた重複データを特定し、規制要件との整合性を確保するのに役立ちます。データ環境の詳細を把握することで、最適化やリスク軽減が必要な分野の優先順位を付けられます。
2. 大規模な非構造化データ管理の課題に対応できるよう設計されたRubrikのソリューションの導入を検討します。Rubrikの高度なツールは、データの整理を効率化し、セキュリティを強化し、さまざまなデータタイプにわたる効率的な検索を可能にします。Rubrikのテクノロジーを活用することで、複雑なデータ環境をシンプル化し、運用効率を高めることができます。Rubrikは、非構造化データ管理のニーズに応じて、以下のようなさまざまなソリューションを提供します。
Rubrik NAS Cloud Directを活用したエンタープライズ向けネットワーク接続型ストレージ(NAS)のバックアップ
Rubrik Security Cloudを活用したNASのリモートクラウドへのバックアップ
Rubrik Data Discovery and Classificationを活用したNAS上の機密データの発見と分類
3. Rubrikのセールスチームに問い合わせ、組織の固有のニーズに合わせた効果的な非構造化データ管理ソリューションの導入に関する個別のアドバイスを受けます。Rubrikの専門家が、組織独自のデータ環境を評価し、パフォーマンスとコンプライアンスの最適化のためのソリューションを提案します。このカスタマイズされたアプローチにより、組織の目標と整合した戦略を構築することができ、業界特有の課題にも対応できるようになります。
果断に行動することで、今日のデータ主導型の環境において成功する体制を整え、非構造化データの力を活用して競争優位性を獲得し、持続的成長を促進できます。強固な管理戦略を実行することで、多様なデータソースから貴重な知見を引き出し、意思決定とイノベーションを強化できます。さらに、プロアクティブなデータガバナンスを実践することで、コンプライアンスとセキュリティを確保し、組織の評判と将来の成功を守ることができます。
RubrikのZero Trust Data Securityプラットフォームについて、Rubrikのテクニカルソリューションエキスパートがお客様環境に即したデモを行います。