AIエージェントとは、環境に基づいて特定の目標を達成するために自律的に行動するITシステムで、意思決定に人工知能を活用します。AIエージェントは企業の間で急速に普及しており、PagerDutyが2025年に実施したIT担当幹部への調査では、51%の回答者がすでに自社でAIエージェントを導入しており、さらに35%の回答者が今後2年以内の導入を予定しています。 

しかし、AIエージェントが持つ自律性にはリスクが伴います。人間の介入や監督なしに行動し、リアルタイムで意思決定を行うため、追跡や取り消しが困難な被害を引き起こす可能性があります。実際、ロイター通信の最近の報道では、自律型AIエージェントによって引き起こされる身体的危害、プライバシー侵害、法的リスクについて警鐘が鳴らされています。 

Rubrik Agent Rewindは、AIエージェントに対する制御を維持する手段になります。プロンプト、メモリ状態、ツール使用状況をエンドツーエンドで可視化し、書き換え不可の監査証跡と選択的ロールバック機能が大きな柱になっています。そのため、AIエージェントが誤った動作をしても、「何が問題だったか(どう後始末をすればよいのか)」と悩む必要はありません。「巻き戻し」をクリックするだけで、以前の状態にリセットできます。 

AIエージェントを制御するには可観測性だけでは不十分な理由

自律型AIエージェントは自律的にタスクを処理できるとされていますが、その独立性自体が新たなリスクをもたらします。従来のソフトウェアとは異なり、AIエージェントはリアルタイムで意思決定を行いますが、時には不完全または誤っているコンテキストに基づいて判断を下してしまう場合もあります。そうした判断は壊滅的な結果(たとえば、現実に基づかないアクションや、設定ミスの連鎖や、システム全体を停止させかねない取り返しのつかない障害)を招きかねません。 

企業はこれまで人為的エラーを主な懸念としていましたが、非人為的エラーという新たな問題に直面しています。これは人為的エラーと同等に深刻であり、しかも発見しづらく、修正も困難です。

それにもかかわらず、ワークフローの自動化、インフラの管理、さらには顧客との対話までを目的として、さまざまな業界の組織が急速にエージェント型AIを導入しています。可観測性を提供する従来型のツール(ダッシュボード、ログ、アラートなど)は、発生した異常を特定して可視化することはできます。しかし、自律型AIエージェントがデータを削除したり、設定を破壊したり、重要なユーザーアクセスを遮断したりといった課題には、可視化だけでは十分に対応できません。ログは、発生した事象を示すことはできますが、それを「なかったこと」にはできません。

必要なのは、根本原因を追跡し、意図しないアクションを安全にロールバックするための手段です。そこで不可欠なのが、バックアップとロールバックを一貫して実行する機能です。増分バックアップは、データの誤削除やランサムウェアから企業データを保護します。そして今、これと同様のレジリエンスを備えた安全対策を、組織はAIの運用に対しても必要としています。

AIが間違ったとき:実例からの教訓

たとえ最先端のAIエージェントであっても、本番システムと直接やり取りする際には、壊滅的な影響を及ぼしかねないミスを犯しがちです。顕著な例として、ある開発者がReplitのLLMベースのコーディングアシスタントを試していたときの出来事があります。AIエージェントは想定外の動作をし、数か月分の作業を数秒で消し去る破壊的なコマンドを実行してしまいました。そのミスは悪意によるものではありませんでしたが、結果は壊滅的でした。なぜなら、発生した事象を迅速に追跡したり、環境全体を復元せずに特定の変更だけをロールバックしたりする方法がなかったからです。 

Rubrik Agent Rewindは、まさにこうした事態の悪化を防ぐために設計されています。AIエージェントの入力内容、メモリ状態、実行チェーンを記録することで、RubrikはAIがなぜそのアクションを実行したのかを示し、影響を受けたファイルやデータベースを正確に特定できます。このアプローチは、書き換え不可のバックアップや自動化された保護にRubrikが長年取り組んできた成果を反映し、同じ原理をAIの領域へと拡張しています。

Agent Rewindを差別化している特長

Rubrik Agent Rewindは、単にAIエージェントが何をしたかを記録するだけではなく、それがなぜ起きたのかを示し、被害を元に戻せるようにします。従来型の監視ではログを記録しますが、Rubrik Agent Rewindは各アクションをその発端と結び付け、プロンプト、メモリ状態、実際に呼び出されたツールを関連づけて把握します。これにより、原因と結果の関係が明確化されます。

しかし、Rubrik Agent Rewindを本当に際立たせている特長は、選択的ロールバックです。システムがフリーズしているときに、自律型エージェントが誤って本番データベースを削除してしまったとしましょう。可観測性を提供するためのソフトウェアはその異常を検知することならできます。一方、Rubrik Agent Rewindなら、根本原因を追跡し、その破壊的なアクションを特定したうえで、その環境内の他の無関係で正しい変更は取り消す必要なく、削除をロールバックすることができます。

あらゆるアクションは書き換え不可の監査証跡として保存されるため、改変や消去ができない追跡可能性が保証されます。つまり、ITチームやセキュリティチームは何が問題だったかを把握でき、かつフォレンジック調査記録の信頼性を確信できます。これらの機能が組み合わさって、Agent RewindをAIベースの業務のための真の安全対策へと高めているのです。

Agent Rewindの仕組み

Rubrik Agent Rewindは、内部でAIエージェントの活動の全体(入力、メモリ状態のスナップショット、プロンプトチェーン、呼び出されたすべてのツールなど)を継続的に記録しています。このデータは、改ざんも消去もできない書き換え不可の監査証跡として書き込まれます。

AIエージェントが想定外の動作をした場合でも、復旧プロセスは混乱を招かずに精密に実行されます。Rubrik Agent Rewindは、システム全体をロールバックする代わりに、AIエージェントによる特定の変更(ファイル編集、設定更新、データベース変更、コード修正など)を特定し、安全に元に戻します。 

因果関係に着目したこのアプローチのおかげで、ダウンタイムを最小限に抑えることができ、システム全体を一括で復元するような力業がもたらす弊害を回避できます。たとえば、AIエージェントが欠陥のある構成を適用してサービス障害を引き起こした場合、Rubrik Agent Rewindはそのアクションを障害の発端となったプロンプトやメモリ状態までさかのぼって追跡し、その誤った構成だけを元に戻します。フォレンジック調査記録の明確さに粒度の高いロールバックを組み合わせることで、Rubrik Agent Rewindは、業務安定性と事業継続性の両方を保護するAIレジリエンスを実現します。

コンプライアンスと信頼性の点でRubrik Agent Rewindが不可欠な理由

法務、リスク、コンプライアンスの各分野のチームのため、Agent Rewindは主要な規制上の枠組みで求められる証拠と説明責任を提供します。GDPR、EU AI法、ISO 27001といった国際的な基準が適用される組織は、自らのシステムを制御できていることを証明するだけでなく、自動化されたアクションの説明可能性が確保できていることも証明しなければなりません。AIエージェントの挙動を追跡して元に戻す能力がなければ、コンプライアンスチームは、罰金、評判の失墜、顧客信頼の喪失につながるおそれのある不備を抱えることになります。

Rubrik Agent Rewindは、発端のプロンプトからツール実行に至るまでのエージェントのすべてのアクションについて、書き換え不可の監査証跡を作成します。この証跡は改ざんできず完全に追跡可能であるため、コンプライアンスチームは何がなぜ起こったのかを検証できます。たとえば、自律型エージェントがデータ保持規則に違反して顧客記録を変更してしまった場合でも、Rubrik Agent Rewindは正確な経緯を規制当局に示し、その不正な操作だけを巻き戻すことが可能です。

リスク管理責任者や監査担当者にとって、この機能はAIを監督する方法を一変させるものです。不完全なログや事後の推測に頼る代わりに、AIエージェントの活動について法的な説得力のあるフォレンジック調査記録が得られるのです。 

RubrikがAIレジリエンスの分野で他社の先を行っている理由

Rubrik Agent Rewindは、ゼロトラストデータセキュリティ(暗黙の信頼を前提とせず、最小権限のアクセスのみを適用するという設計思想)に基づいてRubrikが提供する大きなアーキテクチャの一部分です。Rubrik Security Cloudは、論理的なエアギャップ、書き換え不可能性、セキュアなプロトコル、ロールベースのアクセス制御(MFAやクォーラム認証を含む)を採用し、記録されたデータを削除、改ざん、不正アクセスから保護します。一方、Agent Rewindが提供するフルスタックな可視性は、AIエージェントの挙動をその発端(プロンプト、メモリ状態、ツール使用状況、実行計画)と直接結び付けます。 

この基盤の上に構築されているのが書き換え不可のリカバリ機能であり、この機能がファイル、データベース、設定、コードなどに対する望ましくない変更を精密に巻き戻すAgent Rewindの能力の中核を成しています。

AIエージェントの導入の準備:次のステップ

企業が自律型エージェントを導入するにあたり、最優先の設計原則はレジリエンスでなければいけません。真にレジリエンスに優れたAI戦略を支える5つの柱: 

  • AIエージェントのすべての行動の追跡可能性

  • コンプライアンス要件を満たした監査対応態勢

  • 意図しない変更を元に戻すための粒度の高いロールバック

  • データの完全性を保証する書き換え不可のバックアップ 

  • AIの運用についての説明可能性と法的説得力を確保する、コンプライアンス上の可観測性

これらの柱を実現するには協働が不可欠です。ITチームは、システムの正常な稼働を維持できているという確信が必要であり、セキュリティチームは、リスクが拡散する前にそれを封じ込める必要があり、コンプライアンス担当者は、GDPR、EU AI法、ISO 27001といった枠組みの順守を証明しなければなりません。Rubrik Agent Rewindは、これらの優先事項を統合して、可視性、監査可能性、安全な復元性を、エンタープライズAI全体に直接組み込みます。

自社のAIシステムに求めるレジリエンスのレベルは、自社のインフラに求めているものと同じレベルであるべきです。Rubrik Agent Rewindを使用して、今日からその基盤の構築を始めましょう。Rubrikは、信頼性、コンプライアンス、事業継続性を損なわずに安全にAIの利用を拡大できるよう支援します。デモンストレーションやアセスメントのご予約は、Rubrikまでお問い合わせください。 

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