データ復旧サービスでデータリカバリー

驚くべきことに、世界のデータの量は2028年までに394ゼタバイト（394という数字の後に21個ものゼロが続きます）という爆発的な水準に達すると予測されています。

これは、目がくらむような膨大なデータ量です。しかし、組織が最悪の事態に見舞われた場合はどうなるのでしょう？データが誤って削除されたり、ハードウェア障害で損傷したり、マルウェアに感染して破損したり、フォーマットやシステムクラッシュで失われたりしたら、どうすればいいのでしょう？重要な情報を取り戻すには支援が必要になります。

データリカバリーを導入します。

この記事では、障害が発生したときに重要となる、エンタープライズ向けのデータリカバリーおよびサイバー攻撃からの復旧における支援について解説します。まず、復旧目標時間（RTO）、復旧目標時点（RPO）、サービスとしての障害復旧（DRaaS）について説明します。次に、障害復旧計画を策定する方法、ランサムウェア攻撃から復旧する方法についてご紹介します。

データリカバリーとは？

データリカバリーは、システム障害や人的エラーによる予期せぬデータ損失に直面した組織にとって、極めて重要な生命線です。データ主導型への転換が進んでいる現代では、重要な情報を迅速に復元できる能力が、業務を継続できるのかあるいはダウンタイムが発生して多大な損失を被るのか、という結果の分かれ目となる可能性があります。データリカバリーの詳細と、ある組織がデータ復旧により救われたケースを詳しく見ていきます。

データリカバリーとは、ハードドライブ、サーバー、SSD、USBドライブ、メモリーカードなどのストレージデバイスから、失われた、削除された、破損した、またはアクセスできなくなったデータを回収・復元するプロセスのことです。失われたファイルを復元するためには、専門的な技術やソフトウェアが使用されます。

一例として、ある組織を襲ったインシデントを見てみます。地域の医療機関の最高執行責任者であるマイクは、IT部長のジョージからサーバーがクラッシュしたとの報告を午前10時に聞き、衝撃を受けました。ハードウェア障害によって、患者記録、予約スケジュール、請求情報といった2.5テラバイトの重要なデータが消失し、クリニック業務が停止してしまいました。

ITチームは、失われたデータを回収・復元するための体系的なプロセスである、データ復旧戦略を発動しました。前夜に作成された安全なオフサイトバックアップを使用して、ITチームはデータの正確性を確保しつつ慎重にファイルを再構築しました。午後4時までに97％のデータが復旧し、システムと患者ケアが回復しました。迅速な復旧のおかげで、業務を維持することができました。このことは、災害への備えにおける信頼性の高いバックアップの重要性を浮き彫りにしています。

この仮定のインシデントは、危機的状況において堅牢なエンタープライズ向けデータ復旧計画が重要になることを示しています。データリカバリーの仕組みを理解しておけば、マイクの医療機関のような組織がデータ関連の危機を乗り越える方法が明確になります。

医療機関にとって、このような戦略は信頼とコンプライアンスの維持に不可欠です。マイクが経験したことは、重要な業務を保護するためにレジリエンスのあるバックアップシステムを優先して整備する必要があることを、思い起こさせてくれます。

しかし、サイバー攻撃に直面したときはどうすればよいのでしょうか？ランサムウェアなどのマルウェアに遭遇した際にデータを取り戻せるよう、サイバーリカバリの導入を検討してください。

サイバーリカバリとは？

165,745,452人。

これは、2025年上半期にデータ侵害の被害を受けた人々の数です。

この衝撃的な数字は、サイバー攻撃の脅威が激化しているという事実を浮き彫りにしています。組織がこうした悪意あるデータ侵害に直面する中、業務と信頼を守るためには効果的な復旧が極めて重要となります。サイバーリカバリは、このようなインシデントが発生した後にシステムやデータを安全に復旧するための、的を絞ったソリューションを提供します。

サイバーリカバリとは、ランサムウェア、マルウェア、データ侵害などのサイバー攻撃を受けた後に、重要なデータ、システム、業務を復旧・保護するプロセスのことであり、ダウンタイム、データ損失、業務中断を最小限に抑えることを目的としています。従来のデータリカバリーは、データ削除やハードウェアまたはシステムの障害を原因とした偶発的なデータ損失に対処するソリューションですが、それと異なりサイバーリカバリは、安全で隔離されたバックアップ（多くの場合、書き換え不可またはエアギャップ化されたもの）を活用して、悪意ある脅威を軽減し、システムを攻撃前のクリーンな状態に復元することに特に重点を置いています。これには、インシデント対応計画、データ検証、安全な復元といった事前に定義された戦略が含まれ、事業継続性とデータ完全性を確保します。

たとえば、堅牢なサイバーリカバリ計画には、Rubrik Cyber Recoveryなどのソリューションにも見られるように、再感染を防ぐためにエアギャップ化されたバックアップからデータを復元することが含まれる場合があります。障害復旧は自然災害などの悪意のない事象も対象とするため、より広範ですが、サイバーリカバリはその点が異なります。

あるeコマース企業で起きた仮定のセキュリティインシデントを見てみます。

成長中の世界的なeコマース企業の創業者兼CEOであるジョンは、月曜日の戦略会議中に、不意を突かれました。ITマネージャーのアンナが会議に割って入り、"ランサムウェアの被害に遭った"という深刻な知らせを告げてきたのです。ITチームは、夜通しで不審なサーバー活動を追跡しており、ちょうど1時間前に侵害を確認したところでした。

アンナのチームが被害を評価したところ、影響を受けたデータの60％が業務上不可欠な情報でした。その量は、顧客記録、取引履歴、在庫ログの合計2テラバイトに及びました。そのデータが無ければ注文処理や出荷が停止してしまい、1日あたり数万ドルの損失が発生することになります。最新のバックアップは12時間前のものだったため、復旧目標時点（RPO）に基づくと4時間分のデータ損失が発生します。顧客が同社を頼りとしている中でアンナは、影響が拡大する前に業務を復旧させるため、エアギャップ化されたバックアップを利用するサイバー復旧計画の発動を承認しました。

この危機から分かることは、サイバー攻撃に対抗するには堅牢な防御体制が必要であるということです。サイバーリカバリは、一般的なデータ復旧とは異なり、このような脅威から立ち直る力を組織に備えさせます。

ジョンの迅速な判断とアンナの専門知識により、同社は夕方には業務を再開し、顧客の信頼と収益を維持することができました。このインシデントは、サイバー攻撃の脅威が増大する中、組織を保護するうえでサイバーリカバリが果たす重要な役割を浮き彫りにしています。

サイバーリカバリが業務復旧の鍵である一方で、より広い概念であるサイバーレジリエンスは、復旧だけでなく、こうした脅威を予測し適応するためのプロアクティブな対策も含んでいます。ジョンが経験したことは、サイバーリスクが激化する時代に包括的なアプローチがいかに組織を安全に保護できるかを示しています。

サイバーレジリエンスとは？

サイバーレジリエンスとは、サイバー脅威（ランサムウェア、データ侵害、マルウェアなど）を予測し、サイバー脅威を耐え抜き、サイバー脅威から回復し、サイバー脅威に適応しながら、業務とデータの完全性を維持する組織の能力を指します。これには、障害を最小限に抑えるために、事前対応型の防御、迅速な対応、継続的な改善が含まれます。

主要な構成要素：

予測：脅威インテリジェンスと脆弱性評価によるリスクの特定
保護：ファイアウォール、暗号化、多要素認証を活用した防御
検知：異常の監視による脅威の早期発見
対応：インシデント対応計画に基づくシステムの隔離と脅威の軽減
復旧：サイバーリカバリの一環としての、安全なバックアップによるデータとシステムの復元
適応：得られた教訓に基づいた防御策の更新

このeコマース企業がランサムウェア攻撃から迅速に復旧し、2テラバイトの重要データを復元できたことは、サイバーレジリエンスの実践例と言えます。堅牢なバックアップ、迅速な対応、適応的な対策を組み合わせることで、顧客からの信頼と業務継続が維持できました。このケースは、激化する現代のサイバー脅威に対処するうえでのサイバーレジリエンスの重要性を示しています。

バックアップ・復旧ソフトウェアとは？

予期せぬ障害から重要なデータを守ることは、事業継続に不可欠です。バックアップ・復旧ソフトウェアは、重要なセーフティネットとして機能し、データを迅速に保護・復元できるようにします。このソフトウェアの仕組みと重要性は、以下のとおりです。

バックアップ・復旧ソフトウェアは、データ、システム、アプリケーションのコピー（バックアップ）を作成し、ハードウェア障害、誤削除、サイバー攻撃などの障害でデータ損失が発生した場合にコピーを復元できるように設計されています。このソフトウェアは、データを安全に保管し、効率的な復旧を可能にすることで、データの完全性と業務の継続性を確保します。

主な機能

バックアップは、ファイル、フォルダー、データベース、オペレーティングシステム、またはシステム全体のコピーを作成し、外付けドライブやNASのようなローカル環境、あるいはOneDriveやAWSのようなクラウド環境に保存します。バックアップの種類：

フルバックアップ：すべてのデータをコピーします
増分バックアップ：前回のバックアップ以降に変更されたデータのみをコピーする方式で、時間とストレージを節約できます
差分バックアップ：前回のフルバックアップ以降に変更されたデータをコピーする方式で、復元の速度と容易さのバランスを取ります
システムイメージ／ベアメタルバックアップ：OSやアプリケーションを含むシステム全体を取り込む方式で、完全な復元を実現します

復旧は、バックアップからデータやシステムを元の場所または新しい場所に復元し、ダウンタイムを最小限に抑えます。復旧の方式：

ファイルレベル：特定のファイルやフォルダーを復元します
システムレベル：システム全体を再構築します。多くの場合、起動可能なメディアをクラッシュしたシステムに対して使用します
粒度の高い復旧：特定のアプリケーションの項目を対象とします（Microsoft 365の電子メールなど）

追加機能：

スケジューリング：毎日や毎週など、設定した間隔でバックアップを自動実行します
暗号化：バックアップの安全を強化し、機密データを保護します
圧縮：バックアップサイズを縮小し、効率的に保存します
クラウド統合：Google DriveやAzureなどのクラウドサービスにバックアップを保存し、アクセス性を確保します
ランサムウェア保護Rubrik Data Backup and Recoveryで見られるように、書き換え不可またはエアギャップ化されたバックアップを使用し、改ざんを防止します。
異常検知：復旧中にランサムウェアなどの脅威を特定します

ランサムウェア攻撃の後、エアギャップ化されたバックアップにより2テラバイトの顧客データを迅速に復旧したeコマース企業のケースも、サーバーのクラッシュが発生した後にオフサイトバックアップにより2.5テラバイトの患者記録を復元した医療機関のケースも、バックアップ・復元ソフトウェアの有効性の証左です。

Rubrikのデータ復旧サービスは、書き換え不可のバックアップや異常検知といった機能により、迅速な復旧を可能にし、ダウンタイムを最小限に抑え、信頼を維持します。強力なバックアップソリューションに投資することで、組織は自信を持って障害に対応し、データの完全性と業務のレジリエンスを確保できます。

復旧目標時間と復旧目標時点

障害発生時のダウンタイムとデータ損失を最小限に抑えることは、組織の存続にとって極めて重要です。復旧目標時間（RTO）と復旧目標時点（RPO）は、迅速かつ効果的な復旧を達成するための指針となる重要な指標です。これらの概念を理解することで、業務を守るための堅牢なバックアップ・復旧戦略を構築できるようになります。

復旧目標時間（RTO）とは、重大な業務上の損害が発生してしまうまでの許容時間としてシステム、アプリケーション、プロセスを停止させていられる最大の時間を指し、障害発生から完全復旧までの所要時間をカウントします。たとえば、RTOが2時間の場合、業務は2時間以内に再開されなければいけません。

復旧目標時点（RPO）とは、組織が許容できる最大データ損失量（時間単位）であり、最後のバックアップの時点と障害が発生した時点の間の時間差を反映します。RPOが15分の場合、最大15分間分のデータが失われる可能性があることを意味し、損失を最小限に抑えるには頻繁なバックアップが必要となります。

低いRTOとRPOを達成するには、バックアップと復旧を効率化しつつ、データの安全性を確保するソリューションが必要です。たとえば、アンナが勤めるeコマース企業がランサムウェア攻撃を受けた際、数百万ドル規模の損失を回避するため、彼女のチームは12時間というタイトなRTO内に10ペタバイトのデータを復元する必要がありました。頻繁かつ自動化されたバックアップを活用することで、大規模な障害時でもデータ損失を最小限に抑え、タイトなRPOに対応できます。Rubrik Data Backup and Recoveryは、これらの機能をシンプルで自動化された安全なプラットフォームによって提供するとともに、書き換え不可のバックアップと体系化された復旧を通じて、タイトなRTOおよびRPO目標値を達成できるようにします。

DRaaSとは？

サービスとしての障害復旧（DRaaS）とは、停電、自然災害、システム障害などの障害発生時に、組織の重要なデータ、アプリケーション、ITシステムの保護・復元をサードパーティプロバイダーに委託する、クラウドベースのアプローチです。DRaaSは、クラウド上にシステムをミラーリングすることで、単にデータの保存だけに特化した通常のバックアップツールとは異なり、最小限のダウンタイムで組織のRTOやRPOに合わせた迅速な復旧を実現します。

DRaaSを活用すれば、重要なデータやアプリケーションをサードパーティのクラウドやプロバイダーのインフラへ複製することで、障害時でも迅速な復旧が達成でき、高額なコストをかけて二次的な補助データセンターを構築する必要がありません。自動化されたオーケストレーションを活用することで、重要なITシステムの迅速な復旧を保証するサービスレベル契約（SLA）のもと、RTOおよびRPOを最小化できます。

標準的なクラウドバックアップサービスでは、他のユーザーとインフラを共有するので、帯域幅やリソースの競合によって遅延が発生する可能性がありますが、DRaaSでは専用の復旧機能が提供されます。DRaaSを利用すれば、組織は数分で業務を復旧できるため、業務の継続性を維持し、長時間のダウンタイムを回避できます。

障害復旧計画とは？

障害復旧計画（DRP）とは、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、プロセス、データを含むITシステムの脅威となる予期せぬ事態に対処するための、組織のロードマップです。この計画には、組織の業務を維持し迅速に復旧させるための、事前、事中、事後のインシデント対応手順が詳細に定められます。

災害は、以下のようなさまざまな形で、組織の業務に影響を及ぼす可能性があります。

自然災害：地震、洪水、竜巻、山火事は、施設やITシステムに深刻な損害を与える可能性があります。
技術的障害：サーバーのクラッシュ、ハードウェアの故障、ソフトウェアの不具合は、重要なデータへのアクセスを妨げる可能性があります。
サイバー攻撃：ランサムウェア、フィッシング、DDoS攻撃は、ネットワークを混乱させ、データの完全性を損なう可能性があります。
人的エラー：ファイル誤削除、入力ミス、システム誤管理は、重要なデータの損失につながる可能性があります。
ユーティリティ障害：停電、インターネット障害、水道供給障害は、これらのサービスに依存する業務を機能不全にする可能性があります。

障害復旧計画の目的

組織のレジリエンスを維持するために、障害復旧計画（DRP）では、いくつかの主要な目標の達成を目指します。具体例：

障害発生時のシームレスな業務継続の維持。
ダウンタイムと複雑性の削減。
重要なデータとシステムの保護。
規制順守の確保。
顧客やステークホルダーとの信頼関係の維持。

障害復旧計画の種類

障害に備えるには、重要な業務を保護するためにカスタマイズされた戦略が必要です。さまざまな種類の障害復旧計画を検討することで、迅速な復旧と事業継続性を確保するための最適なアプローチを選択できます。

クラウドベースの障害復旧： クラウドベースの障害復旧戦略では、クラウドプラットフォームを活用してデータやITシステムの複製を安全に保管します。クラウドの拡張性と柔軟性のおかげで、地理的に分散した拠点を活用して障害に対するレジリエンスを強化し、サービスを迅速に復旧できます。

仮想化された障害復旧： 障害復旧を仮想化するアプローチでは、サーバー、ワークステーション、またはシステム全体の仮想スナップショットを作成し、仮想ホスト上で起動可能な状態にします。これにより、重要な業務の復旧を自動化・迅速化でき、管理の効率化とコストの削減が実現します。

ネットワークの障害復旧： ネットワークの障害復旧計画では、障害発生後の接続復旧を最優先とします。ルーター、スイッチ、ファイアウォール、データリンクを再構成することで、ユーザー、クラウドサービス、リモート拠点の間のシームレスな通信を迅速に復元できます。

データセンターの災害復旧： この種類の障害復旧計画では、データセンターのインフラに焦点を当てて、インシデント後の業務再開手順の概要が定められます。冗長化されたハードウェア、バックアップ電源、緊急冷却などの対策を実装することで、データセンターの機能を最小限の遅延で再開できます。

障害復旧計画のテスト

障害復旧計画が効果的であることを確認するためには、計画を徹底的にテストして、不備を特定し、信頼性を確認しなければいけません。障害復旧計画を評価するための5つの方法：

ドキュメントレビュー：組織と各チームが障害復旧に関するドキュメントを確認することで、すべてのバックアップ手順とプロトコルが明確かつ最新の状態であることを確認します。
ステップバイステップのリハーサル：データ侵害などの障害時に必要になる各アクションをチームが順を追って確認することで、準備状況を検証し役割を明確化します。
シナリオシミュレーション：チームの対応を評価するためにテストサーバー上で障害をシミュレートすることで、サービス復旧にかかる時間を測定します。
バックアップシステムテスト：障害発生を模したバックアップサーバーのテストを実施することで、修正内容を本番システムに適用する前にその有効性を検証します。
完全フェイルオーバードリル：実際の攻撃や障害が発生したかのように業務をバックアップシステムへ切り替えることで、シームレスな復旧と最小限のダウンタイムを確保します。

Rubrikは、強力なDRPの実装を支援できる製品を提供しています。Rubrik Cyber Recovery は、重要なデータを隔離し、データ侵害後に容易に復旧できるようにすることで、サイバー攻撃からの保護を実現するソリューションサービスです。Rubrik Data Backup and Recoveryは、シンプル化された安全な自動バックアップ機能を提供し、RTOとRPOを最適化します。Rubrikのデータ復旧サービスは、既存のITインフラとシームレスに統合できるよう設計されており、使いやすさと効果的な障害復旧を実現します。

マスリカバリとは？

マスリカバリとは、大規模なサイバー攻撃、自然災害、システム障害などの重大な混乱が発生した後に、一つの組織全体で、または複数の組織にまたがってデータ、システム、インフラを大規模に復旧することを指します。

標準的なデータ復旧が特定のファイルやシステムの復旧を対象とするのとは違い、マスリカバリは、膨大な量の重要なデータ、アプリケーション、サービスを、多数のサーバーやエンドポイントさらには地域全体にわたって復旧して事業継続を確保するための、統合的な取り組みを指します。

マスリカバリの主な特徴の例：

規模：ペタバイト単位の大量データや複数のシステムの同時復旧を含み、その多くがオンプレミス、クラウド、ハイブリッドといった分散された各環境の全体にわたって実行されます。
調整：複雑性を管理するためには体系化されたプロセスが必要となり、その多くに自動化ツール、インシデント対応チーム、事前定義された復旧計画が含まれています。
適用範囲：企業全体または複数組織にわたる影響（数千のエンドポイントに影響するランサムウェア攻撃後の業務復旧や、複数のデータセンターに影響する地域災害など）に対処します。
ツールと技術：高度なバックアップ・復旧ソフトウェア、クラウドベースのDRaaS、書き換え不可のバックアップ、オーケストレーションプラットフォームを活用することで、復旧を効率化し、復旧目標時間（RTO）および復旧目標時点（RPO）を達成します。

マスリカバリの実践を示す仮定のケース：成功しているeコマース企業の創業者兼CEOであるジョンは、戦略会議中に、ITマネージャーのアンナから衝撃的な知らせを受けました。同社のグローバル業務全体が一晩のうちにランサムウェア攻撃に襲われてしまったのです。ITチームは、異常なサーバー活動を監視していたのですが、データ侵害によって50か所の地域データセンターとクラウド環境にわたって、10ペタバイトもの業務上不可欠なデータ（顧客情報、取引履歴、在庫ログ、決済システム）が暗号化されてしまい、世界中で注文処理が停止し、1日あたり数百万ドルの収益を失うリスクが発生していることを確認しました。

アンナのチームは、企業全体にわたる膨大なデータとシステムを復元する大規模なプロセスである、マスリカバリに着手しました。Rubrik Security Cloudが備えるオーケストレーション機能と、書き換え不可かつエアギャップ化されたバックアップを活用し、重要なアプリケーションの復旧を優先して実行したところ、10ペタバイトのうち95％を12時間以内に復旧し、タイトなRTOを達成することができました。異常検知ツールがクリーンな復旧ポイントを特定し、ランサムウェアが残っていないことを確認しました。翌朝までにグローバル業務は再開されたことで、顧客の信頼を守り、財務的損失を最小限に抑えることができました。これは、企業全体に及ぶ障害に対処するうえでのマスリカバリの有効性を示すケースです。

ランサムウェアからの復旧

ランサムウェア攻撃は急増しているだけでなく、ますます手口が複雑化し、頻度も高まり、検知と復旧が困難になっています。そうしたサイバー攻撃は、深刻な財務的影響をもたらし、業務を中断させ、高額な復旧コストを要し、機密データの損失リスクを発生させ、評判を損ない、法的な問題を引き起こす可能性があります。セキュリティの基盤として「書き換え不可性」を確保しつつ、データリカバリーを迅速化して事業継続性を維持する能力を備えることが、激化しつつある脅威に対抗し損失を最小限に抑えるうえで、極めて重要です。

ランサムウェアのようなサイバー脅威に組織が耐えられるようにするには、プロアクティブな準備が不可欠です。対象の質問に基づいて障害復旧戦略を評価することで、不備を明らかにし、レジリエンスを強化できます。ランサムウェア攻撃に対する準備状況を評価するための主要な質問：

ランサムウェア攻撃を受けた後、業務はどのくらいの長さのダウンタイムに耐えられるか？
バックアップファイルはすぐに利用可能であり、改ざんから保護されているか？
バックアップデータと復旧プロセスを定期的に見直し、更新しているか？
ランサムウェアによるインシデントの発生後、システムとデータを復旧するためにどのような手順が講じられるか？

ランサムウェア攻撃を受けて暗号化されたファイルの復旧は、時間がかかるうえにミスも発生しがちな煩雑で多段階の復元プロセスが必要となることが多いため、組織にとって大きな課題です。高度なランサムウェアはバックアップを破損させたり削除したりする可能性があることから、信頼性の高い復旧を確保するには、改ざんが防止されており書き換えが不可能なバックアップが必要であることが明らかです。

システムの全部または一部を復旧する際には、最新のクリーンなバージョンに数分以内に迅速にアクセスし、データを復旧できる必要があります。サイバー攻撃に備えるということが意味するのは、脅威を迅速に検知でき、被害を評価でき、安全で書き換え不可のバックアップ（Rubrik Data Backup and Recoveryならこうしたバックアップを提供できます）を利用して即座の復旧を実現できるソリューションを採用する、ということです。

サイバーレジリエンスを強化するための6つのステップ

以下の6つの重要なステップに従えば、組織のサイバーレジリエンスを強化し、ランサムウェアのようなサイバー脅威への備えを構築し、復旧を実現できます。これらのステップにより、高度な攻撃に直面しても業務の継続と安全の維持が可能になります。堅牢な防御戦略を構築するための方法：

弱点の特定：インフラを精査することで、脆弱性を特定し、データ保存場所をマッピングし、潜在的な脅威に対するデータのアクセス可能性を評価します。
復旧目標の設定：復旧目標時間（RTO）と復旧目標時点（RPO）を確立し、復旧活動を組織のニーズに整合させます。
戦略の策定：詳細なバックアップ・復旧計画を作成し、具体的な行動内容を明記するとともに、チームメンバーに明確な役割を割り当てます。
保護ツールの導入：クラウドベースのデータ管理プラットフォームといったソリューション（たとえば、Rubrik Data Backup and Recoveryなど）に投資し、サイバー攻撃時の復旧を効率化しコストを削減します。
復旧機能の見直し：ランサムウェアからの復旧機能（迅速なファイル復元、即時のデータアクセス、改ざん防止型のバックアップなど）に注力し、シームレスな業務継続を確保します。
定期的なテストの実施：データ復旧プロセスを継続的にテスト・改善することで、実際のサイバーインシデントに対する準備を徹底します。

2028年までに世界のデータ量が394ゼタバイトに達すると予測されている中、上記のケース（サーバークラッシュ後に2.5テラバイトのデータを復旧した医療機関と、ランサムウェア攻撃後に10ペタバイトのデータを復旧したeコマース企業）からも明らかなように、組織を障害から守ることの重要性はかつてないほど高まっています。これらのケースは、低いRTOとRPOを達成する堅牢な戦略を構築してダウンタイムとデータ損失を最小限に抑えることの必要性を示しています。

サイバーレジリエンスを導入することで、激化する脅威から業務を安全に保護できます。包括的な障害復旧計画（DRaaSやマスリカバリを含む）によって、事業の継続性と信頼を維持することができます。危機的状況によってシステムの脆弱性が露呈してしまうリスクを放置してはいけません。今すぐ行動を起こし、Rubrikにご連絡ください。データバックアップ・復旧ソリューションを導入し、起こり得る障害に備えて組織を強化してください。